流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

信じれば真実、疑えば妄想……

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!


信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー、



ブルーライトヨコハマ-Harmonica
南 里沙 クロマチックハーモニカ



 
アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.

幸せな家庭生活が妻の病死により一転、
悲しみの毎日へと変わった。
幼子を抱えて生きてゆくには
多くの人々の支えがあった。
精一杯生きる中での様々な出会いと
悲しい別れを繰り返し、
不思議な出来事にも遭遇する。
そして、そこには新たな愛が存在していた。……


Author: 壇次郎


どんぐりからの手紙 (第22話)
時代2
私が店に帰ったのは、昼時を過ぎたころでした。
店番をしていたはずの姉に代わって、
そこには香絵ちゃんが座っていました。
剛 「あれ? うちの姉ちゃんは?」
香絵 「今、銀行に行ってる。
 おじさん、なかなか帰って来ないから、
 私、ここの前を通ったら、
 店番、頼まれちゃった。
 あれっ、そのカメラ、
 原本さんのおじいちゃんのじゃない?」
剛 「あぁ、今、挨拶に寄ったところなんだ。
 そしたら、これ、くれたんだ」
香絵 「原本さんのおじいちゃん、
 うちのおじいちゃんとは幼なじみで、
 私、小さい頃、よく、面倒見て貰ったんだ。
 なんだか、私、寂しいなぁ・・・」
剛 「原本さん、言ってたよ。
 自分の役割は終わったって・・・」
香絵 「ふ~ん・・・、私の役割って、
 なんだろう・・・。ところで、
 おじさんの役割ってなに?」
剛 「俺の役割は、骨董品を売ることさ!」
香絵 「そうじゃなくってさぁ・・・、もう・・・」
剛 「別れもあれば、その分だけ出会いもあるさ。
 原本さんにも、きっと、新しい出会いがあるよ。
 若い女性、ゲットするかもよ」
香絵 「なによ、それ! 
 男って、いくつになるまで女、求めるの? 
 あぁ、いやらしい! 私、もう、行くよ。
 お昼、食べてないんだからね・・・」

数日後、私は均ちゃんに誘われて、
振興組合の事務所で開かれる
組合の理事会に出ることとなりました。
理事会は武田さんと言う、
お弁当屋さんのご主人が理事長を務め、
その他、専務理事、常務理事と言った
役員がいます。
まるで、会社の役員会の様です。
均ちゃんは会計主任だそうで、
組合の会計全般を取り仕切る役割をしています。
しかし、実際は、香絵ちゃんが勤めている
会計事務所の岡田先生が実務をしているそうで、
均ちゃんは、いったい何をしているのか、
私には解りませんでした。
理事長の武田さんは、
ガッチリした体格の持ち主で、
若い頃は学生運動のリーダーをしていただけあって、
組合員をまとめる力には素晴らしいものがありました。

武田 「森田さん、今日は無理を申しましてすみません。
 今、この商店街でも整備計画がありまして、
 よく、地方に行かれている森田さんにも、
 色々とご意見を伺おうと思っているんですよ。
 なんせ、我々は、殆どこの商店街から
 外に出ないもんで・・・」
剛 「私でもお役に立てれば、何なりと言って下さい」
均 「そうそう、中山商店さん、
 今度、コンビニチェーンに加盟するそうだよ。
 今でも、なじみのお客さん、
 けっこう多いんだけど、これからは、
 やっぱり有名な看板が必要だなんて言ってたよ」
常務 「じゃあ、中山さんのおじいちゃん、
 あの派手なコンビニ服着て、
 『いらっしゃいませ』ってするのかい?」
専務 「ははは・・・、あのハゲ頭じゃ、
 似合わねぇーぞ」
均 「まだまだ、隠居はしねえよって言ってたよ。
 これからも、お客さんと世間話を
 していたいんだってさ」
専務 「その気持ち、解るなぁ。
 俺と話をしたいって言うお客さんもいるし、
 買わなくてもいいから、寄っていきなよって
 声掛けること、あるもんなぁ・・・」
均 「ところで、理事長、補助金の方、
 どうでした?」
武田 「あぁ、今、役所の振興課、商工課、
 それに道路課で詰めているところだそうだ。
 なんせ、議会の森先生が、
 ついているから安心してるよ」
常務 「街路灯とインターロッキングの
 歩道整備で行くんだろ?」
専務 「デザインはどうする? 
 デザイナーにコンペ方式で頼むか、
 それとも、基本は我々で造るか・・・」
武田 「我々の商店街だから、
 基本構想ぐらいは自分たちで考えようや。
 予算も限られるから、良く勉強しないとな。
 植栽は無しで考えるけど、いいかな?」
剛 「なんだか木が一本もなくなると
 寂しいもんですね。
 ある街では、植栽を多くして、
 夏の暑い時期に打ち水をしたりして、
 そこを歩く人には評判がいいそうですよ」
均 「そうだよな、ここらも、夏、暑いもんなぁ・・・」
専務 「植栽を入れると、枯葉の掃除が大変だよ。
 手入れも誰がするんだい? 
 枝が伸びりゃ、枝払いもしなきゃならんし・・・、
 毎年の経費、大丈夫かい?」
武田 「でも、みんな、自分の店の前、
一日に一度も掃除しない日ってあるか? 
 手入れは植木屋の徳さんに頼めば
 いいじゃないかなぁ・・・。
 商店街の維持、管理は、基本的に自分たちで
 やろうや・・・。
 まあ、当然、組合である程度の支払いは
 しなきゃならんが、限られた予算だ、
 出来るだけ身内で回そうぜ。」
常務 「そうだよな、みんな、暇を見つけては、
 ちょこちょこホウキで掃いたり、
 水まいたりしてるよな。
 そのついでと思えば、別に枯葉の掃除ぐらい、
 いいんじゃないかな?」
均 「金が無かったら、商店街の人たち、
 総出で枝払いすればいいじゃん。
 脚立や梯子だったら、
 徳さん以外でも電気屋の西野さんからも
 借りりゃあいいじゃん」
専務 「それもそうだな。じゃあ、
 何植える?柿の木でも植えるか?」
均 「だめだよ、果物の生る木なんて
 植えちゃぁ・・・。そんな事したら、
 うちの商売、上がったりだよ」
剛 「以前、この辺りでは、
 どんぐりの生る木が多かったと聞いていますが、
 いかがですか? 通りの名前も
 『どんぐり通り』なんて言うのもどうでしょう?」
均 「いいねぇ・・・。ついでに
『どんぐり通り商店街』なんてのに名前、
 変えちゃうかい?」
武田 「書類の関係上、名前をすぐに
 変えることは出来ないけど、
 なんだか、夢がありそうだね・・・。
 街路灯のデザインや、
 インターロッキングの色も、
 どんぐりに合わせて考え直すか?」
常務 「なんだか、今までお堅い感じだったけど、
 親しみが出ていいんじゃないかな?」

何気ない無責任な私の意見でしたが、
これほどまでも皆さんが賛同するなんて、
私は思ってもいませんでした。
そんな話をしていると、
香絵ちゃんが組合の帳簿を持って
現れました。そして、私に気付くなり、
香絵 「こんちワ! あれ? 
 何でおじさん、ここにいるの?」
武田 「森田さんから、今、
 大変貴重なご意見を頂いたところだよ。
 ところで、香絵ちゃん、なんだいその足は・・・。
 ちょっと出し過ぎだぞ!」
香絵 「やーだ、武田さん、そんなに見ないでよ」
武田 「見られたくないんなら見せるなよ」
香絵 「そんなこと言って、
 これから皆さんで駅裏のパブ、行くんでしょう? 
 あぁ、いやらしい! 
 均ちゃん、また、口紅つけて帰って、
 奥さんに怒られるんじゃないわよ!」
均 「おいおい・・・、なんでそんなこと
 知ってるんだよ!」
専務 「ははは・・・、香絵ちゃんにかかったら
 大変だな」
香絵ちゃんは、ここでも人気者でした。
いったいあの明るさは、
どこから来るのでしょうか・・・。
その後、私たちは香絵ちゃんの言う通り、
皆で駅裏のパブに繰り出すこととなりました。
その晩は、片言の日本語を話す
若いお姉ちゃんを横に、カラオケ三昧の夜でした。


続く

Author: 夢庵壇次郎
http://www.newvel.jp/library/pso-1967.html


愚人は過去を、賢人は現在を、狂人は未来を語る


誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴になるから……



時は絶えず流れ、
    今、微笑む花も、明日には枯れる





P R
きれいなお風呂・宣言 

お風呂物語