流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

信じれば真実、疑えば妄想……

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!


信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー、



百万本のバラ  アラ・ブガチョワ



ロシアのアラ・ブガチョワが歌ったオリジナル曲
1983年以降、のコンサートと思われます。
還暦すぎたそうです、




アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.

幸せな家庭生活が妻の病死により一転、
悲しみの毎日へと変わった。
幼子を抱えて生きてゆくには
多くの人々の支えがあった。
精一杯生きる中での様々な出会いと
悲しい別れを繰り返し、
不思議な出来事にも遭遇する。
そして、そこには新たな愛が存在していた。……


Author: 壇次郎


どんぐりからの手紙 (第20話)
少女
私のアンティークショップでは、
「こんな物を探してほしい」という要望が増えてきました。
写真の切抜きを見せられて、要求されるお客さんもいます。
私はすっかり、あちこちの骨董市や
フリーマーケットに顔を出す様になっていました。
ある骨董市で、私はお客さんから依頼されていた
木製の火鉢を手に入れることが出来ました。
それを店の奥で磨いていると、
一人の赤いランドセル姿の少女が店先に干してある
ドングリを一粒、一粒、手に取って眺めていました。
小学生低学年ぐらいの少女は黄色い帽子をかぶり、
ドングリを見つめる目は、どことなく寂し気でもありました。

剛 「お嬢ちゃん、こんにちは。学校は終わったのかな?」
少女 「・・・・・」
剛 「そのドングリ、持って行っていいよ。
そろそろ帰らないと、ママ、心配するかもよ?」
少女 「・・・・・」
少女は、ただ、うなずくだけで、ドングリをひとつ握り締め、
薄暗くなった商店街をゆっくりと歩き出しました。
店には、よく、色々な小学生が集団で
帰りに寄ったりしていました。
古い物を珍しそうに眺めながら、
「博物館で見た」とか言いながら騒いでいることもありました。
商売にはなりませんが、私は子供たちの
騒がしい声が好きでした。
何時間も店の中で騒がれては困りますが、
帰宅途中のほんの少しの間だけでしたので、
そんな光景を微笑んで見ていました。
但し、中には商品をいじ繰り回して
壊してしまう子供も居るのには困ったものです。
お客さんには、「子供から聞いて・・・」と言って、
立ち寄ってくれるお母さんもいます。
お父さんよりもお母さんの方が
古い物に興味があるのかもしれません。

ある日、私は仕入れのときに拾ってきた松ぼっくりを
店先に干していました。すると、
以前、ドングリをあげた少女が、
今度は松ぼっくりを眺めていました。
剛 「お嬢ちゃん、また、学校の帰りかな? 
 今度は松ぼっくりだよ」
少女 「・・・・・」
剛 「それも、持って行っていいよ。
 お嬢ちゃん、何年生かな?」
少女 「二年生」
剛 「そっかぁ・・・、二年生か・・・」
私は、隆が一年生の時に運動会で
一緒にお昼を共にした美紀ちゃんのことを
思い出していました。
元気で成長してくれていればいいなと、考えていました。
美恵子さんは元気でいるのだろうか・・・。
そして、何気なく、松ぼっくりを眺めている
少女の足元に目が行きました。
最近では珍しく、穴の開いている靴を履いています。
靴底はかなり使い古し、磨り減っていて、
今にもかかとが飛び出しそうな靴でした。
少女の着ている服の袖口や襟元は汚れたままで、
明らかに何日も同じ服を着させられている様子でした。
そんな時、香絵ちゃんが現れました。
香絵ちゃんは私と少女の様子を見ていると、
すぐにそこの少女は、何か訳有りであると感じた様でした。
香絵 「お嬢ちゃん、お姉さんと一緒に
 お菓子、食べようか? 美味しいクッキーがあるんだよ。
 お姉さんが作ったんだけど、美味しいよ」

私と香絵ちゃんは、少女を放っておくことが出来ず、
店の奥に誘いました。
香絵ちゃんが焼いたと言うクッキーと
店の冷蔵庫の中にあったオレンジジュースを差し出すと、
少女は美味しそうにもぐもぐと食べ始めました。
剛 「どうだい? 美味しいかな?」
少女「うん !」
剛 「お嬢ちゃん、お名前、おじさんに教えてくれるかな? 
おじさんはツヨシって言うんだよ。
 こっちのお姉さんは香絵ちゃんって言うんだ」
少女 「わたし、高橋えり」
香絵 「そう、えりちゃんって言うんだ。東小学校かな?」
少女 「うん !」
香絵 「東小学校だったら、お姉さんと一緒だね。
 関川先生、まだいるのかな?」
少女 「うん、わたしのクラス」
香絵 「えっ、お姉さんも6年生の時、関川先生だったんだよ」

少女、えりちゃんは、すっかり笑顔になっていました。
クッキーをほおばる頬は、あかぎれで、
痛々しそうに見えました。
いったいこの子はどんな環境で育てられているのだろう。
剛 「えりちゃんは、おうちに誰かいるのかな?」
えり 「ママがいるけど、もうすぐお仕事に出かけるの」
香絵 「じゃあ、夜はえりちゃん、いつも独りなの?」
えり 「うん・・・」
剛 「じゃあ、寂しいねぇ・・・」
えり 「だいじょうぶたよ」
私も香絵ちゃんも、この会話だけで
えりちゃんの家庭環境が想像出来ました。
どうにかしてあげたくても、他人の家庭にまでは
口を出すことは出来ません。

えり 「ママが出かける時間になるから、
 もう、帰る・・・」
香絵 「じゃあ、このクッキー、全部持って行きなね。
 夜、お腹すいたら、食べるんだよ。
 お姉さん、また、作って来るからね・・・。
 今度は、もっと大きくて美味しいの作ってあげるからね。
 また来るんだよ」
剛 「気をつけて帰るんだよ」
えり 「うん、ありがとう。バイバイ!」

私と香絵ちゃんは、薄暗くなって人通りの増えた
商店街を、走って帰って行くえりちゃんの後姿を
いつまでも見送っていました。
えりちゃんの赤いランドセル姿が見えなくなると、
ふたり顔を見合わせ、ため息をつき、
我々には言葉が見つかりませんでした。

その後、えりちゃんは、学校の帰り道、
遠慮なく店に寄ってくれる様になりました。
その時間になると、香絵ちゃんも必ず
店に顔を出す様になっていました。
いくら香絵ちゃんの事務所が店の近くだとは言え、
仕事を放り出して来ているのではないかと、
心配になるほどです。
えりちゃんは店に来る度に、
香絵ちゃんの作ったクッキーやケーキを
美味しそうにほおばっていました。
えりちゃんは、ドングリや松ぼっくり、そして栗など、
自然が置いていってくれたお土産が好きでした。
白樺の木なんかは、ぽろぽろと剥がれていく幹を
楽しそうに剥がしていました。

香絵 「えりちゃん、今度、お姉さんと一緒に
 どんぐりでオブジェ造ろうか・・・?」
えり 「オブジェってなに?」
香絵 「どんぐりや木の実だとか、葉っぱだとか、
 木の枝とかでお皿だとか飾りを造るんだよ。
 えりちゃんも好きなものを造るんだよ。
 えりちゃん、なに造ろうか?」
えり 「んー・・・、解んない・・・」
剛 「香絵ちゃん、事務所の方はいいのかい? 
 仕事しないと、クビになっちゃうぞ?」
香絵 「平気、平気、今、うちの先生、
 高校野球見てるから・・・。
 ねっ、おじさん、今度、いっぱいどんぐりと木の実、
 採って来てね」
剛 「ああ、任せとけ! 
 今度、えりちゃんにすっごく綺麗な、
 おっきなどんぐり、拾ってきてあげるからね」
香絵 「あれ? おじさん、私にも忘れないでね・・・」
偶然にも香絵ちゃんの恩師が
えりちゃんの担任の先生であった為、
香絵ちゃんは時間を見つけて恩師の関川先生を
訪ねました。

続く

Author: 夢庵壇次郎
http://www.newvel.jp/library/pso-1967.html


愚人は過去を、賢人は現在を、狂人は未来を語る


誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴になるから……



時は絶えず流れ、
    今、微笑む花も、明日には枯れる





P R
きれいなお風呂・宣言 
お風呂物語