流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

信じれば真実、疑えば妄想……

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!


信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー、



アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.

幸せな家庭生活が妻の病死により一転、
悲しみの毎日へと変わった。
幼子を抱えて生きてゆくには
多くの人々の支えがあった。
精一杯生きる中での様々な出会いと
悲しい別れを繰り返し、
不思議な出来事にも遭遇する。
そして、そこには新たな愛が存在していた。……


Author: 壇次郎


どんぐりからの手紙 (第13話)

その頃、私の勤務する工場の経営に、
回復の兆しはありませんでした。
数年前までは、経営者がどんな目的で
資金を運用しようとも、
銀行は喜んで融資してくれました。
世の中が株や不動産に投資して、
儲かっていると聞けば、それに便乗しようと考える
経営者も多くいました。
我社の経営者も、その内の一人でありました。
自分の判断が間違いであったと気付いた社長は、
損を覚悟で、取得した不動産を
手放そうとしていましたが、
なかなか買い手がつかず、
とうとう融資の返済も滞ってしまう様になりました。
銀行は、追加融資はもちろんしてくれません。
返済期限を過ぎた融資は、
不良債権」というレッテルを
貼られてしまいました。
造る製品が激減したら、私には
仕入れも検品も出来ません。
そこで、過去に取引のあった会社を一件、一件、
営業に回ることとなりました。
慣れない営業という仕事から帰ってくると、
真っ先に出迎えてくれるのは、
茶色い模様のあるビスケットでした。
毎日、毎日、私が玄関を開けると
ぴょんぴょんと飛んで来ます。
こんなウサギの姿を目の当たりにすることにより、
私は笑顔に戻ることが出来ました。
ウサギでも、人間の心が読めるのでしょうか。
「生き物はいつか死ぬ。死なれたら辛いから、
愛情は注がず、距離を置いて見ていよう」と
考えていた私ですが、
「生き物はいつか死ぬ。だから、せめて、
命のある間は、出来るだけかわいがろう。
思いっきり愛情を注いであげよう。
皆、限られた命だから・・・」と、
考えが変わりました。
このウサギたちに寿命が訪れる頃は、
隆もすっかり大人になっているでしょう。
私は心配することなど無いものと
信じきっていました。

私と隆は、ウサギのことを知る様にしました。
ウサギの寿命は、ネコと同じぐらいだそうです。
穴を掘って、巣をつくり、
穴に潜る習性があるそうです。
我が家のウサギの飼育場所である衣装ケースでは、
穴が掘れません。巣がありません。
そこで、私は小さな木の箱を作り、
ウサギが潜れるようにしました。
でも、入口になっている穴は、
ウサギにとって、少々、小さすぎる様でした。
隆「とうさん。巣の入口、少し小さいみたいだよ。
 もっと大きくしてよ」
父「うるさいなぁ・・・。
 父さん、今日、疲れてるんだから・・・。
 今度の日曜日に直してあげるよ」
隆「・・・・・ 」
ウサギを飼い始めて3ヶ月ほどが過ぎた、
秋の深まる日の出来事でした。
私は自分の住むアパートの近くまで、
営業に来ていました。そして、その日は
会社に戻らず、営業の挨拶が終わったら、
そのまま帰宅することにしました。
そこで珍しく、私はまだ明るい内に
帰宅することが出来ました。
私がアパートに着き、玄関ドアを開けても、
何故かビスケットはいつもの様に飛んで
迎えに来ません。まだ、
箱の蓋が閉まっているのだろうか。
でも、玄関には隆の靴があり、
隆は帰って来ている筈だ。
私は、靴を脱ぎ、居間に向かうと、
クッキーだけがテーブルの下に
ちょこんと座っているのが見えました。
居間の奥でウサギの入った衣装ケースの前に
座っていた隆は、私を見るなり、
「ビスケット、死んじゃった」と、
ぽつり一言、つぶやきました
。隆が学校から帰宅すると、
箱の中にある私の作った巣の入口に、
ビスケットは首を突っ込んだまま、
ぐったりしていたそうです。
それに気付いた隆は、急いで
木で作られた巣を壊し、
ビスケットを取り出しましたが、
もう、再び動き出すことは無かったとの事でした。
あの晩、私が巣を直していたら、
こんな事にならなかったと、悔やみ、
ビスケットと隆には申し訳ない気持ちで
いっぱいでした。
ただ、涙一つ見せない隆の姿が、
憐れでした。
私は、動かなくなったビスケットを
小さな段ボール箱に入れました。
半分開いているビスケットの目は
、いくら閉めても開いてしまいました。
さぞ、苦しかったことだったのでしょう。
私は、ビスケットの好物だった人参を
ひとかけら段ボール箱に入れました。
私と隆は、ビスケットの入った
段ボール箱を抱え、近くの
雑木林へと向かいました。
秋の夕暮れは早いものです。
誰も居ない雑木林を奥へと進むにつれ、
あたりはだんだんと薄暗くなって行きました。
私と隆は、周りよりも少し小高くなった場所を選び、
ベランダ菜園で使っているスコップで
穴を掘りました。そして、
ビスケットの入っているダンボール箱を埋め、
その上に土を被せ、ペットポトルから水を注ぎました。
隆は、ビスケットの埋められた穴の横にある木に、
スコップの先端で「ビスケット」と名前を彫りました。
しかし、うまく彫れません。
かろうじて、「ビ」という文字だけが判りました。
最後に、私と隆は、ビスケットに手を合わせ、
すっかり暗くなった道をクッキーの待つ
部屋へと戻りました。
枯葉もすっかり落ち、いつ、
氷が張ってもおかしくない、秋深まった頃の
出来事でした。

続く

Author: 夢庵壇次郎
http://www.newvel.jp/library/pso-1967.html


愚人は過去を、賢人は現在を、狂人は未来を語る


歌は心の走馬灯、
 歌は世につれ、世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…



:
美空ひばり;・北島三郎《兄弟仁義》




誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴になるから……



時は絶えず流れ、
    今、微笑む花も、明日には枯れる


P R
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