流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!

信じれば真実、疑えば妄想……

アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.


知られざる命 
Author: 壇次郎
北海道を舞台に、歴史に翻弄された
小さな命がありました。
太平洋戦争から近代に至る出来事に
感動される物語です。
誰もどうすることの出来ない悲しい事実が
ありました。
命の大切さを考えさせられます……  


知られざる命-序章-
翌朝、まだ、皆が寝ている頃、
家の外で犬の泣き声がしました。
それを聞いた真里子は、
飛び起きて家の外に出てみました。
「ポチだ、ポチだよ・・・。」
「お兄ちゃん、お母さん、
ポチが帰って来たよ」
真里子のその声を聞き、
母親も、おばあちゃんも、
泰蔵に続いて外に飛び出しました。
そこには、首輪に付いた紐を引きずって、
身体中泥だらけになったポチが
尻尾を振って座っていました。
泰蔵の縛り方が緩かったのか、
紐は自然と解けたのでしょう。
ポチは一晩がかりで家にたどり着いたのでした。
ポチは最後まで、家族と一緒に居たいのでしょう。
そんなポチの姿を見て、泰蔵は
最期の日が来るまでポチを離さないと、
心に決めました。

数日後、
犬のいる家の人々が役場へと集められました。
三好家からは、母親の華がそこに出向きました。
役場では、地区ごとにくじ引きが始められました。
それにより、犬を差し出す家庭が決められます。
泰蔵の母親がくじを引きました。そして、
ポチを三日後に差し出すことが決まりました。
その晩から、泰蔵は土間で
ポチと一緒に寝る様にしました。
ポチと一緒に居られる時間は、
もう、あまりありません。
泰蔵にとって、殆ど眠れぬ夜を過ごした後、
とうとうポチを差し出す日が
やって来ました。
その日の朝、三好家では精一杯のご馳走を
ポチに与えました。それは、
食料の少なかった当時、
人間でもなかなか口に入らないくらいのご馳走です。
そんなご馳走をポチは美味しそうに、
あっという間にたいらげてしまいました。
そしてポチは、空になったどんぶり茶碗を
いつまでもいつまでも
ペロペロと舐め続けていました。
思う存分、空の茶碗を舐め尽したポチは、
次に、周りで見ていた家族一人一人の
手を舐め始めました。
真里子の手をペロペロと舐めたら
真里子の顔を見ました。
次に、隣のおばあちゃんの手をペロペロと舐め、
おばあちゃんの顔を見ました。
そして、お母さんの手を・・・・・・。
最後に泰蔵の手と顔を舐め終え、
ポチは泰蔵と真里子と共に、
愛され育った家を後にしました。
泰蔵は真里子と共に、ポチを役場が指定した
河川敷に連れて行きました。
ポチは、いつもの散歩の様に、嫌がることも無く、
泰蔵の掴む紐に引かれていました。
川の堤防を登り詰めたら、
木の板に囲まれた場所が
河川敷に造られているのが見えました。
泰蔵はポチと共に、ゆっくりと
その場所に向かいました。
そして、入口にいた兵隊さんに
持っていた紐を手渡しました。
ポチは紐を持った兵隊さんと共に、
黙って、振り返る事無く、
塀の中へと入って行きました。
しばらくして、兵隊さんが
血の付いたポチの首輪と紐だけを
持って出て来ました。
そして、黙ってそれを泰蔵に手渡しました。
その間、ポチは全く
悲鳴を上げることをしませんでした。
声も出さずに自分の身を国に捧げてくれました。
その帰り道、泰蔵は
大声を上げて泣きました。
さっきまでポチが身に付けていた
首輪と紐を握り締め、
泣きながらゆっくりと来た道を戻って行きました。
そんな兄に慰めの声も掛けることができず、
真里子も黙って兄の後を付いて
家へと帰りました。
空にはたくさんの雪虫が、
ポチを光の国に導くかの様に、
どこからともなく現れては消えて行きました。
木々の葉もすっかり落ちた、
晩秋の日の出来事でした。

続く

Author: 夢庵壇次郎
http://www.newvel.jp/library/pso-1967.html

愚人は過去を、賢人は現在を、狂人は未来を語る

歌は心の走馬灯、
 歌は世につれ、世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…


いとしいとしというこころ
小林旭浅丘ルリ子
作詞:阿久悠・作曲:鈴木キサブロー

ほろ酔い美人 気取ってみたけれど
背中が痛い
もたれて眠る あなたがいないから
酔いきれない

みじかい夢の中 ひとこと話してよ
ただ いとしいと
わたしも答えましょう ほろほろ 泣きながら
ただ いとしいと





昨日という日は歴史、
 明日という日はミステリー、
  今日という日は贈り物、
今は、歌のプレゼント

時は絶えず流れ、
    今、微笑む花も、明日には枯れる